マブーハイ!ポケモン剣盾の今回のシーズンありえん構築に悩みます。ドーモ、えのけんです。
きせきガラルサニーゴがカイオーガのしおふきを耐えてミラコで倒した時はあり得んエクスタシーでした。
はじめに
それはそれとして、先日発表された第164回芥川賞作品『推し燃ゆ』(著:宇佐見りん)は皆さんご存知でしょうか?
著者は21歳で史上三番目の若さでの受賞らしいですよ。なんなら、デビュー作で三島由紀夫賞を最年少受賞されているそうで凄い方。(それに対してろくでもない生活してる僕ときたら…)
例年なら情報を聞くだけでさらっと流す僕ですが、このタイトルを聞いて思わず気になりました。僕も推し事をしている身ですからね。気になってあらすじを検索...
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――(河出書房新社より)
先日とCY8ERの解散ライブに参加し、また別日にワタナベマホト氏関連の報道もあり色々と思うところがあった時に、このようなあらすじを見せられたらもう読むしかない。
ラッキーなことに、UーNEXTのポイントが貯まっていたのでポイントから買いました。(文章の引用箇所頁はそれに沿います)
…という事で早速読みました。
ざっとした説明
推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。まだ詳細は何ひとつわかっていない。(5頁より)
という文から始まる、推しの炎上がきっかけで、主人公のあかりの生活がゆっくり、だけども確実に変化していく物語です。
主要な登場人物
あかり:主人公。上野真幸のガチオタク。ブログ開設や、過去の出演したラジオの文字起こしや雑誌などを集めるタイプのオタク。推しの全てを解釈することが彼女のスタンスであり、それだけが彼女の生きがい。
上野真幸:地上アイドルグループ「まざま座」の男性メンバー。女性を殴ったことがニュースのなり炎上。
ひかり:あかりの姉。妹と対象的に現実世界でまっとうに生きている。
あかりの母:夫が海外に単身赴任しているため、いろいろと苦労している人。
成美:あかりの友人。地下メンズオタク。
感想
※以下、普段活字を読まない現文弱者の感想です※
いや、深い、深すぎる…
推しがいるオタクは全員読め!言語化できないオタク愛や熱量みたいな感情が上手く表現できていて、「おま...ほんまそれ...」みたいな感情になります。「共感」なんて安い言葉じゃないです。例えば、
携帯やテレビ画面には、あるいはステージと客席には、そのへだたりぶんの優しさがあると思う。相手と話して距離が近づくこともない、あたしが何かをすることで関係性が壊れることもない。一定のへだたりのある場所で誰かの存在を感じ続けられることが、安らぎを与えてくれるということがあるように思う。何より、推しを推すとき、あたしというすべてを懸けてのめり込むとき、一方的ではあるけれどあたしはいつになく満ち足りている。(70~71頁より)
や、深すぎる...
そして何よりも物語の流れが良い。さながら、徐々に溶けていく氷のよう。物語中盤に大きく何かがドーンと起きたり、あかりが自身の苦難をなんとかして乗り越えていくようなことはあまり起きないです。ゆっくり、ただゆっくりと推しの炎上という災難が彼女の人生・生活を蝕んでいく内容です。
個人的に一番印象深かったのは、地下にいった成美の光と地上にい たあかりの闇です。ネタバレになるから大きな声で言えないのがとても残念だが、ただでさえ日常生活をおくるのが不器用なうえに、推しが炎上し坂道を転がるあかりと明るい性格の持ち主で地下現場で幸福を手に入れる成美、ここの目に見えてわかる対比に気が付いて血の気が引きました。
推しを全力で推す事だけが生きがいで、全力を生きていたオタクの日常がある日突然、一方的に崩されていく様子・灰になりかけていく様子は、未来の自分を予言しているかのようで少し怖かったです。(まぁ、僕はくそDDなのであかり程はならないはずですけど)
最後に
とにかく、オタクは読め。1.5kで128頁ぐらいなのでサクッと読めちゃいます。
イベ数がいまだに少なく、推し事のモチベも下がりつつあるであろう今だからこそ読んでほしいです。人によっては人生を大きく変える一冊になりえるかもしれませんよ。
それでは~
えのけん
PS:関係ないけど、みんな大好き赤坂アカ先生と横槍メンゴ先生がタッグを組んだ『推しの子』もついでにオススメします。